家族介護とお仕事としての介護
気がつけば介護という仕事を生業にして19年が経ちます。
自身もそうでしたが、家族を介護するというのは非常に難しいです。
周りから見れば「介護やってるから出来るよね」「分かるから大丈夫やんな」を思われがちですが
仕事として介護を選んだので出来ているだけです。
「ご利用者様=お客様」なので厳しい事があっても我慢が出来ますし、笑顔でいられます。
私の亡くなった父はステージ4の癌でした。母親が認知症で現在施設に入所しています。
もともと父親とは折り合いが悪かったこともあり、弱っていく父親の「しんどいから病院に連れていって欲しい」
「マシになったから退院する」という言葉にどんどん感情が出てくる自分。
母親は認知症の症状が進んでいきますが、家で見ていたので受診は私たちが連れていきます。
「何時に出かけるから準備しといて」と何度言っても、直前になっても用意が出来ておらず「ちょっと待って」を繰り返す。
それでなくても、少ない休みの日の中で母親の病院で半日が潰れる事でイライラしていたので逆立つ感情。
きつくなる口調。仕事中なら絶対にない厳しいものの言い方に気づいていました。
そして、急に母親に呼び出され行くと小さい時にさんざん見て焼き付いている怒っている時の表情。
開口一番「お金何処にやった」と私が盗んだと思いっている状態に・・・。
母親の食事。病院。介護サービスの手配。気分転換の外出など今まで自分がしてきた事は何だったのか。
介護の仕事をしている以上、認知症という病気は理解していましたし、沢山の事例も見てきたつもりでしたが
母親にとって自分はそういう対象だったのかと、只々つらく私の中で何かが弾けました。
同時にこのままでは「愛情が愛憎」変わってしまうと。
その後は家族のフォローもあり持ち直しましたが家族介護の辛さ、しんどさを痛感した一コマです。
現在、母親は入居していますが、未だにこれが正解だったのかと悩むこともありますが、自身の生活も気持ちも安定しています。
もし、自宅で家族介護をしている方がおられればしんどくなったらしんどいと言って下さい。
皆さん十二分に頑張っておられます。
大切な人に溢れんばかりの愛情を注いでいるのも分かっています。
なので、私たちの様な介護サービスを頼って下さい。
「自宅で診ていきたい」皆様の想いを少しでもお手伝いさせて下さい。
その事だけをお伝えしたくてこの文章を書かせて頂きました。